2年目1月のおでかけポイント
No.22 赤羽自然観察公園と浮間公園
環境:森林・湿地・池
この連載を始めて都内の地図をよく見るようになり、意外な緑に気がつくようになりました。今回、行って来たのも、そんな場所の一つ、北区の赤羽自然観察公園です。決して大きな緑ではありませんが、周囲に緑は少ないので、貴重な自然であることは間違いありません。さっそく出かけてみることにしました。
入り口に到着し、驚いたことに田んぼがありました。北区に田んぼがあるとは予想をしておらず、本当にびっくりしました。ご近所の皆さんにとっても身近に季節の移ろいを感じられる貴重な風景だと思います。
ふと目の前を鳥が横切り枝に止まりました。モズの雄です。
幸先のいいスタートです。
モズが飛び去った後に、地元の方に声をかけられ、野鳥観察に来たとお伝えすると、興味を持たれて少し立ち話。お別れをして辺りを見渡すと、地面にスズメが群れていました。
鳥に眼が慣れるといろいろ見えてきます。少し離れたところにはムクドリも群れていました。
先ほどお会いした方が、「いつも鳥がいるのは奥のほうですよ」と言われたので、早速そちらへ向かうと、枝先に小鳥の姿。ホオジロの仲間のカシラダカです。しかし、私が焦って急に双眼鏡を向けたことがいけなかったようで、すぐに飛び去ってしまいました。23区でせっかくの新しい種類を見つけたのに、私の失敗です。
カシラダカを逃して落胆するのも束の間、画像の○で囲った辺りの地面でカサコソと音がしました。
最初は保護色でよくわかりませんでしたが、嘴の付け根に白い点があり、お腹が赤くないので、シロハラです。
シロハラの出現後にヒヨドリやシジュウカラの声がしていましたが、徐々に風が強くなり、鳥たちの姿がめっきり減ってしまいました。これではもう小鳥類の観察は難しそうです。
そこで赤羽から場所を移動することにしました。地図を見ると以前行ったことある浮間公園が近くにありました。広い水面があり、荒川もそばなので、何か鳥が来ている可能性がありそうです。
入り口について、すぐにカモの群れ(キンクロハジロ、ホシハジロ)とダイサギの姿が見えました。やはり冬の水辺はいろいろすぐに見つかって楽しいです。
キンクロハジロとホシハジロの顔をしっかり見たいとしばらく粘っていましたが、嘴を背中に入れたままぷかぷかと浮いているばかり。しかし、特にキンクロハジロは目が黄色なので、時々目を開けて周囲を確認している様子はわかりました。
水面にある浮きにもユリカモメ、カワウ、セグロカモメの鳥の姿がありました。
池の奥へ足を運ぶと、風が避けられるのか、カモ類やゴイサギがたくさん休んでいました。
おでこがクリーム色のヒドリガモもたくさんいました。皆、眠いようで、顔を背中に入れたままでした。
アシ原のほうへ目を動かすと、夏に訪問したときに見たバンがいました。しかし、このバンが途中からやたら上空を気にし始めました。
バンが気にする方向を見ると、カラスくらいのタカが飛んでいます。翼に大きな黒い斑があります。タカの仲間、ノスリです。この連載で初めての出現です。里山などにいることが多い猛禽ですが、荒川の河川敷をうまく利用して越冬しているのかもしれません。
ノスリは猛禽の仲間ですが、主にネズミやモグラを主食としているので、鳥を襲うことは稀です。しかし、やはりソワソワしています。鳥たちが落ち着くまでは、しばらく時間がかかりました。
鳥たちが落ち着きを取り戻してから、観察を再開。頭を頸の根元に突っ込んで休むゴイサギの手前で、見慣れないカモが潜水を繰り返していました(矢印)。
頭が栗色で体が灰色、間違いなくミコアイサです。大きな川や湖沼に飛来することが多い鳥で、都内で見られる場所は比較的限られているので、ここで見られたのはラッキーでした。
23区でミコアイサに出会えた幸運を思い出にするために、スケッチをしました。
そろそろ日も傾き始め、風もまた冷たくなって来たので、駅へ向かって歩くことにしました。双眼鏡をリュックに入れようか迷っていると、看板の上に鳥影を発見。これは見たことのある鳥のかたちです。
なんと最後にカワセミが出てくれました。
最初の赤羽自然観察公園では、途中から風が強くなって鳥たちが見えにくくなってしまいましたが、臨機応変に場所を変えたのが功を奏し、これまで連載中,最高の37種を確認、しかも新しい種類を3種類も見ることができました。
お勧め機種:
赤羽自然観察公園は樹木も多い場所なので、明るいEDレンズ採用の双眼鏡が観察には良いと思いますが、今回のように浮間公園など水辺もセットで訪問される場合は望遠鏡を持っていくほうがよいでしょう。