2年目7月のおでかけポイント
No.16 葛西臨海公園
No.16 葛西臨海公園
環境:森林 干潟
バードウォッチングを趣味としていると、5-6月は子育ての季節で鳥の姿や声が多いので楽しいのですが、繁殖期が終わる7-8月にかけては見かける鳥も極端に少なくなり、観察は難しくなります。そんなときは水辺に出かけてサギなどの大型の鳥をじっくり観察するのが得策です。 暑さも心配なので、駅からすぐに観察できる葛西臨海公園を目指しました。
最寄り駅の名前も葛西臨海公園ですので、遠方から来た方でもすぐに場所がわかります。
JR京葉線の高架の下にはツバメの巣がありました。どうやら雛がいるようで、双眼鏡で見ると、時々頭が動いているのが見えました。顔も見えるときがあり、かわいかったです。
まずは水辺の鳥をしっかり見ようと、西なぎさのほうへ足を運びましたが、そこへ行く途中の大きな橋を渡っていると、岸辺で動く小さな影がありました(写真03a)。望遠鏡で確認すると、イソシギです(写真03b)。この企画でイソシギは初めて現れた鳥。
(写真03a)
(写真03b)(写真03a)
橋を渡って、西なぎさの端から、人の立ち入りが禁止されている東なぎさを観察する鳥たちの群れが見えました。陽炎が立って見えにくかったのですが、カワウ、ウミネコ、アオサギ、カルガモなどのほか、この連載で初めて観察したオオセグロカモメとセグロカモメが確認できました。気になる姿もありました。写真には撮れなかったのですが、現れました。写真ではわかりにくいのですが、望遠鏡で観察するとウミネコくらいの大きさで嘴が下に曲がっているので、間違いなくシギの仲間です。ホウロクシギでよさそうです。
そのホウロクシギの前に今度はホウロクシギよりもお腹の部分が白っぽいシギが登場しました。大きさもホウロクシギほどあるので、こちらはダイシャクシギでよさそうです。
それにしても暑い日でした。来た道を戻り、日陰を求めて鳥類園のほうへ行くと、森の中
ではムクドリが歩いていました。
ではムクドリが歩いていました。
木陰は涼しかったのですが、鳥の姿は葉の影に隠れて非常に見えにくく、歯がゆい思いをします。そこで鳥の声で気配を感じようと、耳を澄ますことに。すると、コツコツと木を叩く音が聞こえてきました。音の方向を確認すると、巣作りをしているコゲラがいました。
この場所はもともと埋め立て地で、開園は1989年(平成元年)。その当時は木々も植樹されたばかりで貧弱な様子だったはず。しかしそれから30年ほどの歳月を経て木々もしっかりしてきたことで、コゲラも子育てができるような森に変化して来たということでしょう。
30年という年月の流れを森の雰囲気とともにしみじみと感じたくて、散策路をゆっくりと歩き始めたときのこと。目の前をムクドリに近い体形の鳥が何羽か横切りました。しかし、見慣れた黒っぽさはなく、白い模様が目に入りました。今のは何だ?!?
急に心が踊り始めました。のんびりしようとすると、忙しくなるのがバードウォッチングです。
あとから来た一羽が枝に止まり、何とか姿が確認できそうです。
頬に赤茶色の斑があり、背中が黒と白の模様になっています。なんと高原などにいることが多いコムクドリです。
コムクドリの姿がちゃんと見られなかったのですが、出会いを大切にしたいと思って、家でしっかり描いてみました。
コムクドリの群れが去り、水辺の観察小屋で池を観察すると、杭の上で羽づくろいをする ゴイサギや餌を探すコサギ、ダイサギなどを確認できました。
そのほか、この小屋ではコチドリやオオヨシキリ、ハクセキレイなどが見られ、最終的にリストを見るとなんと30種と、これまでの最高種類数を確認!しかも新たに観察した種類は6種類と、驚きの結果でした。鳥の見にくいシーズンと思っていたのは、何だったのかと不思議な気持ちにさえなりました。真実は常にフィールドにありますね。
ふと空を見ると、鉛色の雲が近づいてきました。夕立がありそうです。こういうときは安全のため早め早めの判断で行動するのがフィールドでは原則です。
途中にお会いしたバードウォッチャーの方と駅に行くまでの間にお話しすると、「8月にはシギの仲間が新たに来ていますので、ぜひ来月も葛西へ!」と言われてしまいましたので、来月も葛西臨海公園にしようと思います。
立ち入り禁止区域へは距離はあるので、可能ならば自分の望遠鏡を持っていくことをお勧めします。水辺での観察は長い時間望遠鏡を覗くことも多くなるので、体勢が疲れにくい傾斜型のほうが便利です。鳥との距離が遠いことも多い場所なので、双眼鏡は10倍のものが威力を発揮することから、レンズ性能が高いエンデバーシリーズがよいと思います。