2年目3月のおでかけポイント
No.24(最終回) 六義園・旧古河庭園
環境:森林・池
実は英国滞在中にロンドンにあるHolland Parkにある日本式の庭園コーナーKyoto Gardenへ行ったときに、あまり鳥がいなかった経験があり、逆の場合はどうなのだろうと確認してみたいと考えていました。
まずは六義園へ行きました。
公園に入って小径を歩き、シジュウカラのさえずりが聞こえてきました。もう春です。
しばらくして、鳥たちの群れが飛び回って、目の前の木に止まりました。胸の部分がオレンジ色です。アトリです。取材をした年には北国からたくさんの群れが移動してきたようで、23区内各地で観察ができた鳥の一つです。3月を過ぎれば北国に戻ることでしょう。
アトリの群れがいたことで安心したのでしょうか、メジロもやってきました。
ウグイスの「ホーホケキョ」というさえずりも聞こえてきました。声のほうへ歩いて行くと池があり、水面にカモが浮いています。
確認をすると、この連載でおなじみのカモ、黒い体に横腹の白いキンクロハジロでした。彼等ももうじき北国へ戻ります。ウグイスの声は相変わらず時々聞こえてきますが、どうも池の奥のほうにいるようで、見ることは難しそうです。
ふと木の高いところから、ギーギーとコゲラの声がします。3月はまだ葉の出ていない木が多いので木に止まる鳥を探しやすく助かります。
朝はまだ若干の寒さがありましたが、陽射しが高くなるにつれてぽかぽか陽気になってきました。鳥たちもちょっとお休みモードなのか、姿が見えにくくなってきました。
そんなときは一ヵ所にじっとしてそばに来る鳥を待つのも一策。10分くらいすると、近くにシロハラがやってきました。
次にカサカサと地面の落ち葉の音が聞こえてきたので、音のするほうを見ると、今度はアオジがいました。鳥の少ない時間帯で鳥に会うためには、やはり耳で声や鳥の出す音で、鳥の気配を察知することが大切です。
写真には撮れなかったものの、シメ、ウグイス、メジロ、アトリがそばまでやってきてくれて、1時間はあっという間でした。
園内ではタチツボスミレやキブシの花も見られ、春の気配をあちこちで楽しむことができました。
さて、場所を移動して旧古河庭園へ。
入ってすぐにヒヨドリのにぎやかな声が聞こえてきました。コブシの花に来
て、花びらを食べているところでした。花びらを食べる勢いがすごかったのですが、これだけ咲き誇っているコブシの花を食べきることはないでしょう。
その後しばらく園内を廻りましたが、ヒヨドリ以外の鳥の姿が見られず、バードウォッチングを終了することにしました。
ロンドンで日本式の庭園で鳥が少なかったように、東京でも西洋式庭園は鳥が少ない印象を受けました。やはり鳥たちも何か“違い”を感じているかもしれません。
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しかし、この連載以外で23区内に来た際に立ち寄った公園などで私が出会った鳥を記録ノートから拾い上げて合計すると、実は104種類になりました。また、訪問した葛西臨海公園では130種類以上の野鳥が記録されているという話を聞き、都内のまとまった緑は野鳥たちにとって非常に貴重な場所であることを知りました。
今回は東京23区を対象にしましたが、名古屋や大阪、福岡、仙台、札幌などの都市圏でも、今回の緑地環境を参考にしてバードウォッチングをされてみてはいかがでしょうか。普段の生活の中で身近な鳥たちの命の輝きに触れることができますし、山にいる鳥たちよりも人の存在に慣れていることが多いので、距離を上手に保てば比較的近くに寄っても逃げない野鳥がいるという点でも、都会では野鳥の観察のしやすさがあります。
結果としては、100種類を見るという目標は未達成の連載となってしまいましたが、23区内に水田があることなど、さまざまな環境の緑が存在を知ることができ、その環境を巧みに見つけ出して生活する鳥たちに愛おしさを感じた2年間でした。今回訪問した場所は、すべて皆さんも自由にいつでも訪問できる場所ばかりです。
バードウォッチングを始めてみようかな?と思っている方がいましたら、まずはお出かけください。きっと私が出会った以上の鳥たちに会えると思います。ぜひ、身近な鳥たちとの出会いを楽しんでください!
お勧め機種:
今回の六義園や旧古河庭園は、一般の訪問も多い場所ですので、三脚の必要な機材の持ち込みは控えるほうがよいでしょう。双眼鏡は、軽くて便利なOrrosシリーズや明るいEDレンズ採用のエンデバーEDシリーズがお勧めです。